お風呂の浴槽にお湯を溜める時や、浴槽に溜めていたお湯を抜いた時、また、洗面所の洗面ボウルにお水を溜めたり溜めていた水を抜いた時、水が渦を巻いているのを見たことはありますか?
この渦巻きの方向が、北半球と南半球では違うという噂は本当でしょうか?
■北半球と南半球の違い
渦にもいろいろありますが、大きなものでは台風があります。テレビなどで見る気象衛星の台風の雲の動きはいつも左巻き、反時計回りです。南半球に行けば、台風は右回りで、時計回りなのです。これには地球の自転が大きく影響しており、この時働く力は「コリオリの力」と呼ばれています。「コリオリの力」とは、地球が自転していることによって、いずれかの方向に動いているものを止まっている人から見ると、北半球では右向きに、南半球では左向きにずれて見える、見かけ上の力のことです。
■家の中の渦巻きの向きは?
それでは、北半球に住む私たちの家の中の渦はどうでしょうか?
台風と同じようにコリオリの力が働いて、浴槽も排水口も右回りに水は流れるのでしょうか。
実は正解は「両方」なのです。
つまり、私たちの身近な暮らしには、地球の自転は影響しないことが分かっているのです。
■お風呂の渦巻きの謎
では、お風呂などの渦巻きの向きはどうやって決まるのでしょうか?
実は、浴槽にできる小さな渦や排水口の渦は、距離も規模も小さいため、コリオリの力の影響をほとんど受けません。それよりも、水が溜まる状況や元々ある水の流れに影響され、流れが弱い部分ができ、渦が生じ、渦の方向が決まるのです。
水道の蛇口から出てくる渦巻きの方向も、蛇口の構造による物理的なもので、南半球では逆になるわけでもありません。地球規模の水流がないと「コリオリの力」は影響しないようです。