家庭のトイレには、便座にフタがある場合がほとんどです。この便座のフタ、どのような役割があるのでしょうか?
■便座のフタ、日本の場合は?
実は、日本において便座のフタに特別な意味はありません。便座のフタは、水洗トイレが主流ではなかった時代に必要なものでした。
日本のトイレでフタが必要とされたのは、「おまる」など部屋の中に置くタイプの便器の場合です。便座のフタは、臭いを防いだり見た目を良くするために必要とされました。
水洗トイレが主流となった現在では、臭いや見た目も改善されたため、便座のフタは必ずしも必要なものではなくなったのです。
■外国(欧米)の場合は?
欧米のほとんどは、お風呂・洗面台・トイレが同じ部屋にある「バスルーム」となっていることが多く、「バスルーム」は身だしなみを整える部屋としての意味もあります。
お化粧をしたりネクタイを締め直す時に、便座に腰掛けて身支度を整えるので、便座のフタは必要なものなのです。背もたれが無いイスのことを「スツール」といいますが、実は腰掛便器という意味もあるそうですよ。
ちなみに、そもそも外国と日本の便座のフタは形状が違っていて、日本のものは座れるようには出来ていないそうです。
日本ではあまり大きな役割が無い便座のフタですが、便器の中に物を落とす危険を防ぐことや見栄えを良くするなどの点で、目立たなくとも陰ながら役に立っている部分でもあります。
さらに最近では、フタを閉めておくことで温水便座の断熱性を向上して省エネに貢献したり、フタを閉めて流すことで感染症の予防にもつながるといわれています。
普段何気なく上げ下げしている便座のフタですが、必要がないと言わず、役立ててあげたいものですね。