■冷凍庫にはどんな種類があるの?
扉を開けて出し入れするタイプを「扉式」と呼びます。これに対し、蓋を開けて上から出し入れするタイプを「ストッカー型」もしくは「ボックス型」と呼びます。
冷気を逃がさないことを第一に考えると、ストッカー型が優れています。冷気は下部にたまるため、蓋を開閉しても、冷気が逃げにくいからです。そして、蓋状の扉なら万が一にも「扉をきちんと閉めるのを忘れたため、中のモノが解凍されてしまった」などということが起こりにくいことも優れています。半面、ストッカー型の短所は下部に入れた食品を取り出しにくいことです。新たに入れる食品を積み重ねてゆくため、下の方はしまったまま忘れられるケースもあります。食品の入れ方に工夫が求められます。
一方、扉式は、中の食品を取り出しやすいのが長所です。短所は扉を開けるたびに冷気が逃げ、効率が悪いことです。扉をきちんと閉めず、中の食品が解凍される事故も起きやすいのも短所です。
また、ファン式と直冷式といった違いもあります。
ファン式は、冷気をファンで循環させ、庫内を均一に冷やす方式です。霜が付かないのも長所のひとつです。これに対し、直冷式は、庫内の一部を冷たくして、自然に冷気が広がる方式です。庫内の温度を下げやすく、無風なので食物が乾燥しにくい長所もあります。が、ときどき霜とりをしなければならないという短所も覚悟しなければなりません。
そのため、使い勝手の良さを第一優先にすれば、扉式でファン式のものがよいといえます。一方、庫内の冷凍温度をより低く保ちたいときは、ストッカー型で直冷式の組み合わせがベストとなります。
■冷凍庫に入れた食物はどれくらいもつの?
冷凍庫に入れれば食物は半永久的にもつ、と考えられがちです。しかし、家庭用として販売されている冷凍庫の大半は、「食べ物を半永久的にもたせる」ことができません。実際に「半永久的にもつ」のは、業務用の冷凍庫の場合です。その違いは冷凍能力の違いによります。
食べ物が腐るのは、細菌類が繁殖するからです。この細菌類の活動を弱めれば、ものは腐りにくくなります。細菌はマイナス18度以下になると、活動を停止します。そのため、このマイナス18度が冷凍庫の性能を測る一つの目安になっています。
家庭用冷凍庫の場合、常時保持温度がマイナス20度というものが多いですが、それはマイナス18度を意識した数値なのです。マイナス18度に対し、マイナス20度なら余裕があるようですが、さていかがでしょうか。
実は、常時保持温度がマイナス20度では、18度を維持しにくいのです。家事作業では、冷凍庫の扉を開ける機会が少なくありません。そして、扉を開けるたびに庫内の温度が上昇し、マイナス18度より高くなってしまうことが多いのです。
業務用の冷凍庫なら、常時保持温度がマイナス30度以下です。さらに高性能型ならマイナス50度を保つ能力があります。マイナス50度ならばマグロの刺身も長くストックできるのですが、マイナス20度程度の冷凍庫なら、もって2週間です。家庭用の冷凍庫でマグロの刺身をストックできる限界は、1週間ほどなのです。
■気になる冷凍庫の値段と電気代は?
家庭に導入できるサイズの冷凍庫で、マイナス30度以下を実現できる機種は限られています。種類が少なく、値段も高めです。200リットル程度の大きさで20万円を超えてしまいます。もっと小さく、マイナス20度レベルならば、5万円を切る価格帯で購入可能です。
また、毎月の電気代も安くはなく、100リットル以上でマイナス30度レベルの場合、5千円から1万円程度かかります。
冷凍庫は、初期投資も、維持費も高い設備なのです。1、2週間に一度程度の割合でまとめ買いをして食品を冷凍保存しようとすると、電気代が高くなってしまうことも覚悟しなければならないでしょう。